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IBEC 建築省エネ機構(一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)

国土交通大臣賞(新築部門)

Diagonal Boxes

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撮影:鈴木 豊(Yutaka Suzuki)

建設地 埼玉県所沢市
設計者 ARTENVARCH一級建築士事務所/川島範久・佐藤桂火・高瀬幸造・平岩良之
施工者 (株)山崎工務店
延べ面積 135m2
地上階/地下階 2/0
構造 木造

講評

敷地は分譲住宅団地のなかの台形状の角地で、西と南東が道路に面し、西側が畑に開かれた立地である。10.5m角の正方形の1階ボリュームと、この正方形に内接し45度回転された2階ボリュームといった、大きさの異なる2つの箱(「Diagonal Boxes」)で構成されている。これにより2階の一面が真南に向き、この部分を吹き抜けとすることで十分な冬の日射を室内に取り入れ、また夏の日射遮蔽が十分できるように計画されている。南面の大開口からの自然光により昼間は照明に頼らない生活を可能とする。この形は夏の卓越風に対応した窓の配置にも有利である。屋根には出力10.08kWの太陽光発電を設置、20年間の固定価格買い取り制度により初期費用回収後は利益が期待できる。

木造躯体は構造材内の充填断熱(壁はGW100mm、屋根は150mm)に加え、外部に断熱パネル(50mm)を貼って念入りな気密施工を行い、通気層を設けている。窓はLow-E真空トリプルガラスの高性能樹脂サッシである。断熱・気密施工マニュアルを作成し、温熱環境に関する設計内容を施工者と共有することで確実性を高めている。高い断熱気密性能を持つ外皮にくるまれた開放的な内部空間は、ライフステージの変化に応じて自在につなぎ、また分割も可能とする。分割に対応する予備配管も用意された周到さである。

1階床下も熱環境的には室内空間である。基礎はペリメータ部分のみ断熱され、床下全体が大地と接した蓄熱空間として設定されている。北東面から取り入れられた新鮮空気が床下から納戸に置かれた熱交換器を経由し、ダクトで1階、2階の中央部に供給される。リターンは階段下と和室壁下端に設けられている。床下に吊り下げられた多数の水入りペットボトルは熱容量を付加するユニークなアイディアである。室内から熱交換器装置に向かうリターン空気がこの床下を通ることで、冬の蓄熱効果と夏の蓄冷効果を生み、安定した室内温熱環境を形成する仕組みとなっている。

パッシブがテーマのシンプルな住宅であり、設計時に温度・光・風の念入りなシミュレーションを繰り返し検討、吟味された結果のデザインである。空間的にも時間的にも変化に富んだ魅力的な室内環境を実現している。また、入居後はHEMSによる実測解析を行い、省エネの効果検証に努めるなど、サステナブル住宅設計に対するスタンスと、達成された施工レベルは高く評価された。

 

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