IBEC 建築省エネ機構(一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)

板硝子協会会長賞(新築部門)

「雨の家」

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建築主個人
設計者(有)CAMELC一級建築士事務所 一級建築士事務所 空設計工房 (株)川﨑構造設計 (有)サン設備設計事務所
施工者(株)安恒組
建設地福岡県福岡市
構造木造
階数2階建
延床面積146m2

講評

サステナブルな、という観点から住宅を評価しようとする際には、何に着目し、優劣をつけるとしたら、どういったことを比較すればよいのかと、大いに頭を悩ませる。サステナブル住宅賞に応募されている住宅では、基本的な省エネルギー性能は確保され、一般的に用いられる環境配慮の手法も一定程度盛り込まれている。特に省エネルギー性能については寒冷地の住宅とくらべると温暖な地域の住宅は特徴を出しにくくなるため、温暖な地域の住宅が評価されるためには、数値や環境配慮アイテムの数だけではない、なにか個性的な特徴を持ち、デザイン的も優れたものであることが特に必要となる。 本住宅は、雨水の徹底した利用に特徴がある。 福岡市内の300m2弱の敷地に2階建145m2という、地方都市では一般的な規模であるが、ここに42t(家庭用の風呂桶200杯分くらい)もの雨水を貯留し、利用できるように設計が行われている。福岡は、最近ではゲリラ豪雨も多く、その対策として雨水貯留を行うよう計画したとのことだが、また、渇水に悩まされてきた歴史も持っている。

この42tの内訳をみると、生活用水や庭に設けたビオトープ池への注水に16t、庭のビオトープ池の循環用に2t、雨水の流出抑制のための一時的な貯留に24tで、生活用水には水道用と雨水用の蛇口をそれぞれ設けて使い分け、入浴、洗濯、便所の水洗、庭の散水などに、一か月あたり10t程度の雨水を水道水の代わりに使っているということである。1日あたりで、300リットルくらいと考えると日常生活で用いる水のかなりの部分に雨水を利用しているといえるだろう。現在、トイレ用の水はすべて、洗濯はすすぎ以外、浴用の水は2/3を雨水で賄っており、雨水による風呂は水が軟らかく子供たちに特に好評とのこと。

なお、住宅の床下への貯水は、湿気が気になるところだが、居室の部分を避けて貯留させることにより居住空間への湿気の問題は生じていないとのことである。

南面には、大屋根をかけた玄関を兼ねた通り土間を設け、日射取得が得られるよう大きな開口部を設けるとともに、この土間空間と屋外のビオトープ池とを空間的に連続させるといったように、雨水を活用を屋外も含めた空間のデザインにも活かしている。


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