IBEC 建築省エネ機構(一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)

財団法人ベターリビング理事長賞(新築部門)

「所沢の家」

撮影:齋藤写真事務所

建築主N様
設計者棟尾建築設計工房
施工者平成建設(株)
建設地埼玉県所沢市
構造木造・RC造
階数地上2階地下1階
延床面積121m2

講評

所沢の家は、東京近郊の住宅地、コナラの林に囲まれた北西傾斜地に建設された2世代住宅である。傾斜地ではあるが敷地面積約500m2、延床面積120m2の木造一部コンクリート造住宅である。傾斜地を利用して地上2階地下1階造としている。周辺の自然環境を配慮し外観は建物の存在感を出来るだけ押さえるように建物高さを押さえ黒を基調とした外観としている。内部は3層1空間として換気、空調計画を行い効率の良い省エネルギー空間を実現している。住宅の中心に上部にトップライトを設けた3層を貫く階段を配して、人の動線、室内の昼光導入、外気導入から室内換気、排気がこの住宅センターを巡って生じるものとしている。間仕切りは構造と分離された造作となっており将来の住まい方に柔軟に変更できる配慮がなされている。ただ、階段を下った正面がトイレの扉であるなどクセのある平面計画となっている。また建物外装は耐久性と防火性に優れた金属系の仕上げとしている。Q値は、2.19W/m2であり建物の断熱気密性能としは、Ⅳ地域の東京近郊では十分な性能を有している。

夏はコナラの林によって生じる日照調節機能を生かし、木陰を通る涼しい風を室内に導入し、冬は落葉により、十分な日照を室内に導入する計画としている。さらに斜面地での立地故の半地下に換気用の配管を埋め込み、地熱を利用した換気による外部負荷の低減を計っている。この地中埋め込み換気配管は内外温度差の小さい夏期には、換気による局所冷房を実現するものとなっている。また将来の雨水利用に関する配慮もなされている。これらの自然の環境調整能力の有効利用に加えて、暖房、冷房、給湯に関しては、燃料電池による熱電供給を有効利用し、給湯及び温水による床暖房、空気熱源によるヒートポンプによる冷暖房を行い、快適で省エネルギー的な室内空間を実現させている。

こうした豊かな自然環境の高度利用や最新の燃料電池利用による省エネルギー的な空調システムの構築に関しては相応のコストを要していることは言うまでもない。住まい手のサステナブル住宅に対する一つのチャレンジ精神をくみ取ることが出来る。


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