IBEC 建築省エネ機構(一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)

財団法人建築環境・省エネルギー機構理事長賞(新築部門)

「HOUSE BB」

建築主B様
設計者川島範久 田中渉 高瀬幸造 平岩良之 徳武建設(株)
施工者徳武建設(株)
建設地長野県長野市
構造木造
階数2階建
延床面積72m2

講評

長野市の郊外に建つ子供が独立したご夫妻のための住宅である。住み慣れた土地ではあるものの、周囲は2階建て住宅が密集し北側には農協倉庫など、日照、通風などの観点からは必ずしも好適な条件とは言えない。このため生活空間を2階レベルに持ち上げ、さらに塔屋を設けることで対応している。これに伴い地上レベルは独創的な木質門型フレームによるピロティとし、かつ駐車場としてではなく心地よい空間として近隣に開放されている。2階平面はロの字型として、内向きに開き、密集した街区において床面積以上に広く感じられる開放感ある空間、さらには十分な日射熱・自然光利用・通風、を実現している。

このような形態は熱損失には不利となることは承知の上で、多岐に亘る創意工夫で環境負荷を抑えつつ快適な室内環境を形成することに成功している。まず断熱については、外壁はGW105mm充填に加えヒートブリッジ対策のための外張り付加断熱18mm、さらに弱点となりがちな隅角部には断熱補強を施している。ピロティに面する床は床暖房の放熱損失抑制のため210mm充填に外張り断熱を付加、窓はAr入りLow-E複層ガラスを用いている。竣工時には、実測によりQ値、C値が次世代省エネ基準相当であることの確認まで行っている。

暖房は高効率エアコンとヒートポンプ温水式床暖房を併用、木造でもあり安定した温熱環境を得るため、相変化温度の異なる潜熱蓄熱材2種を方位・用途あるいは部位により使い分けるなど細かな工夫が見られる。給湯には太陽熱給湯システムを採用し、断熱浴槽と併せ実績値としても大幅なエネルギー消費削減がなされている。長期的視点からも、内部結露・ずれ落ちなど断熱材の状況を確認するための小窓、防腐・防蟻効果のホウ酸棒の状況確認孔、湿気排出のための通気層、メンテナンスのための雨樋回避、など配慮が細かい。

また、自然通風CFDに代表されるシミュレーション、サーモカメラや無線・LANによる実測など、採用技術について事前事後の検討・実測を行いその分析も的確である。

柔軟な発想で生活実態を踏まえ勘所をおさえた工夫が随所に見られるサステナブル住宅で高く評価できる。


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