IBEC 建築省エネ機構(一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)

財団法人建築環境・省エネルギー機構理事長賞 (新築部門)

「学園大通りの家」

撮影:岡本公二

建築主個人
設計者 (有)インタースペース・アーキテクツ
施工者(株)今村工務店
建設地福岡県北九州市
構造木造
階数2階建
延床面積164m2

講評

「学園大通りの家」は、「世界の環境首都」を目指す北九州市の学術研究都市近くの新興住宅地に建つ。「持続可能な社会」の実現に取り組んできた当市では、行政、企業のみならず、環境意識が高い市民が多い。

建て主は、大学で建築・都市環境工学を研究する学者、いわばサステナブル住宅の専門家である。親子3世代5人家族が同居するこの住宅は、自らの研究成果を実地に検証する場である。 住宅の特徴は、南北に長い2層吹抜の土間空間と、それをはさんで配置された居室群という空間構成にある。建て主から設計者へのリクエストのひとつ、玄関回りの吹抜空間は、意外にも玄関と裏庭をつなぐ巨大な内庭状の土間空間として実現した。設計者はこの空間に、さまざまな意味でのサステナブル住宅の提案を盛り込んだ。土間空間は一見、日常生活空間を分断するバリアになるように思えるが、意に反して、住宅全体のパッシブ/アクティブな室内環境制御装置の中心として、期待どおり良好な生活実感をもたらしてくれているようである。

これには、設計者の優れた知見や能力とあわせて、建て主の専門である工学的手法の活用が貢献している。「CASBEEすまい(戸建)」を通じた建て主・設計者協働による住宅設計、数値流体解析シミュレーションを用いた空気式床下冷暖房方式の性能検証、室内温熱環境の実地測定結果に基づく空調設備機器の調整などである。快適な室内環境の実現のためには事前予測、事後評価がいかに重要であるかを、この住宅は教えてくれる。

この住宅にはこれ以外にも、現状で活用できる限りの省エネルギー技術、環境負荷削減技術が採用されている。また、将来の暮らしや技術の変化に対して、フレキシブルな対応が可能となるよう計画されている。今後将来にわたる実生活での検証の蓄積によって、サステナブル住宅の汎用的モデルへの途が切り拓かれることを期待する。


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