IBEC 建築省エネ機構(一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)

一般財団法人建築環境・省エネルギー機構理事長賞(事務所建築部門)

「飯野ビルディング(I期)」

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建築主飯野海運(株)
設計者(株)竹中工務店
施工者(株)竹中工務店
建設地東京都千代田区
構造SRC造、S造、RC造
階数地上27階地下5階塔屋2階
延床面積100,540m2

講評

 豊かな(仕事場空間としての)居住性を、十分な省エネルギー性を確保するという条件の中に見出し、それを事務所建築の新しい形として纏めあげた作品である。

(旧)飯野ビル(1960~2011)の50年間は、日本の右肩上がりの経済発展というパラダイムの時代の中にあって利便性追求がテーマであった。それに対して、これからの2100年までのおよそ100年を見据えると、環境性追求がテーマになると考えて、全体のデザインに取り組んでいる。

特徴は、1)全面的なダブルスキンの採用、2)ダブルスキン部分の開閉可能な窓と建物コア部分のエコボイド空間とのあいだで行なう通風システム、3)明るさを確保しつつ十分に照度を落とし得る照明システム、4)室内からの戻り空気を活用するデシカント空調システム、5)冬季の密閉式冷却塔を利用した外気冷房、6)執務空間の天井放射冷房システム、7)タスク空調・照明を執務者各自の好みに応じて行なえるパソコンによる個別制御システムの七点である。

(旧)飯野ビルにおけるエネルギー使用量速さ 約2000 MJ/(m2年)に対して、半減以下の約950 MJ/(m2年)を実現し、さらに今後の運用(システム運転の最適化、執務者の住まい方 改善)によって700 MJ/(m2年)を目指している。このことによって、執務空間の快適性が損なわれるのではなく、むしろ不快さが減っていくだろうことが窺われた。この点を高く評価したい。

執務スペースにおけるタスク空調・照明のパソコンによる個別制御システムの作り込み、また、その前提となる設定室温や設定温度について、エネルギー使用速さを増していくことになるばかりであった従来の考え方を、積極的に変えていこう…という姿勢が、建物の依頼主、そして設計者の方々に見ることができ、この点にも好感が持てた。

なお、デシカント空調システムの動力が熱処理能力に比べて大き過ぎる可能性なしとはしない。その点の検討や新たなシステム構築が、次なる課題として、本作品の設計関係者によって新たに行なわれていくことを期待したい。


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