IBEC 建築省エネ機構(一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)

審査委員会奨励賞(小規模建築部門)

「つくば建築試験研究センター試験研究本館」

建築主一般財団法人ベターリビング
設計者(株)エステック計画研究所
施工者清水建設(株)
建設地茨城県つくば市
構造木造・RC併用構造
階数2階建
延床面積765m2

講評

 つくば市の中心部から離れた田園地帯に位置する中小規模の研究センターである。主としてデスクワークが行われている建物なので、事務所建築と言ってよい。中小規模の建築としては建築および設備の両面でサスティナブル化に挑戦していて、非常に好感がもてる。木を多用した建築構造(木造とRC造の混構造)、ルーバー、通風高窓、スウィンドウ(風圧によって開閉が行われる窓であり、排気の場合しか窓は開かない)、アルゴン入り複層ガラス、地中熱利用の電動ヒートポンプ、床吹きだし空調、デシカント外調機などの多くの要素技術が導入されている。材料、建築、設備の三つの領域においてサスティナブル化が考えられ具現化されている。中小規模の建築でこれほど幅広くサスティナブルの要素を導入したものは、そう多くは見られない。なお、照明がマニュアル制御であること、冷暖房の熱源としてガスエンジヒートポンプも使用していることなど、やや課題として残る部分も存在する。

この建物の最大の課題はエネルギーマネジメントにある。上記に示した各種のサスティナブル要素技術の効果が現実のエネルギー消費量には反映されていないのである。一般には建築・設備・管理の三つが全てそれぞれのレベルに達し、その三者が連携して十分なサスティナブル建築になるのだが、残念ながら、三番目の「管理」がこの建築では適切に実践されていない。たとえば、中間期に通風が適切に実施されていなかったので、エネルギー消費量は予測値とはかなりかけ離れたものになっていた。設計者と建物使用者の間のコミュニケーションが十分にとれていなかったものと思われる。また、電力計測や見える化も十分に行われておらず、所内におけるエネルギーマネジメントの仕組も組織化されていない。

結局、様々な要素技術の導入や地中熱利用の性能検証など非常にチャレンジングな部分もみられるが、エネルギーマネジメントの面がかなり不十分であるので、非常に高いサスティナブル建築であるという評価は与えられない。よって、奨励賞が適当である。


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