IBEC 建築省エネ機構(一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)

審査委員会奨励賞(商業施設その他部門)

「鹿島技術研究所本館実験棟」

建築主鹿島建設(株)
設計者鹿島建設(株)
施工者鹿島建設(株)
建設地東京都調布市
構造RC造、一部S造
階数地上4階地下2階
延床面積7,007m2

講評

 本建物は、鹿島技術研究所施設の立替・再編の一環として計画され、2009年春より運用されている。研究グループ毎に分散していた実験室を一棟に集約して交流のある知的創造の場として計画されたものである。建物は地下2階・地上4階建ての鉄筋コンクリート造で、全フロアに実験室が配置されている。平面計画は、北側道路に面した知的創造の場となる6層吹き抜けのナレッジストリート、80m×11mの無柱空間の実験室、南側には設備スペースや避難経路としてのマルチパーパスバルコニーで構成された高機能な空間となっている。

建物コンセプトの一つである知識創造の場としてナレッジストリートは美しい大空間であり、そこに設けられたミーティングスペースにいると自然に溶け込んだ感覚がする。知識創造を促す集中思考に適した快適な温熱環境を実現するために、個人が自由に風速をかえられるタスク空調を採用し、省エネルギーと同時に選択性のある環境を構築している。また、建物全体を鹿島建設の技術のライブショーケース化し、技術の実証を行う場として計画されており、再生可能エネルギーの有効利用システム、天井放射空調システム、水搬送系分散ポンプシステムなどを採用している。また地域環境に溶け込むために、現存する桜並木のイメージを継承するなど外構の植栽計画に細かな配慮を与えている。

再生可能エネルギー利用としては、地中熱、太陽光、太陽熱、地下水流といった再生可能エネルギーを複合的にオンサイトで利用する空調システムを構築している。地中熱はナレッジストリートの空調熱源である地中熱ヒートポンプチラーの放熱、採熱源としての利用と放射冷房空調の熱源として利用する。地中熱利用による地盤温度の変化を解消するために地下水流がある地盤での地中熱利用を想定した地盤温度の自然再生促進法と、ヒートポンプによる冷却を用いた強制再生法の二通りを採用した。また太陽光、太陽熱をPVソルエアヒートポンプで利用し、太陽光発電による系統への電力供給、太陽熱集熱による加熱運転、夜間放射を利用した冷却運転を行っている。

個々の技術レベルは高いものであるが、建物全体を総合的に見るとまとまりに欠けるように見えるのが残念である。またナレッジストリートの暖房時の対策が不十分に感じられた。未来に向けた新技術の開発レベル、設計表現レベルは優れているので、その点十分高い評価がされ委員会奨励賞として価値あるものと認められる。


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