IBEC 建築省エネ機構(一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)

財団法人建築環境・省エネルギー機構理事長賞(事務所建築部門)

「前川製作所新本社ビル」

建築主(株)前川製作所
設計者大成建設(株)
施工者大成建設(株)
建設地東京都江東区
構造S造
階数8階建
延床面積9,310m2

講評

 省エネルギー、サスティナビリティをテーマとした数々の技術的計画と配置、周辺環境計画をはじめとする建築デザイン計画が、見事に調和統合された優れた作品として本プロジェクトを評価したい。

東京都江東区深川を発生の地とする冷凍機メーカー前川製作所の本社ビルは、桜並木の続く大横川に沿った敷地に、総合設計制度を採用し、敷地内に充分な公開空地を設け、地域の中に豊かな外部空間を提供している。1階、2階部分の多くを地域活動に公開するなど機能面でも社会性豊かな計画として成立している。

2年半に渡る充分な設計期間により、施主のもつエンジニアリングが設計者、施工者の計画の中で見事に組み込まれることで、簡潔で高質なオフィスビルが、優れた機械設備構成に加え、建築のディテールにいたるまで実現されている。

省エネルギー、サスティナビリティ、環境制御技術の展開においては、大横川沿いの湿潤な地下を利用した場所打ち杭方式地中熱利用空調設備の実現、施主の開発によるノンフロン化自然冷媒熱源システム、氷水搬送熱源システムが特記できる。これらに加え、全面床吹空調、昼光照明制御システムなどが、構造材あらわしの簡素だがたくみにデザインされた天井とともに、快適な執務空間を生み出している。水害対策に対応して、地下はつくらずに主要設備機器は屋上に置かれている。免震システム等防災上の計画も行き届いている。

大横川側、北側ファサードは、全面ペアガラスを採用し、快適な眺望と安定した自然採光を得るとともに、床水平ラインをシャープに強調することでヒューマンなスケール感をもたせ、簡潔な透明感溢れるファサードを都市景観に与えている。南、東、西面は、近隣プライバシーを考慮して、かなり閉じた壁面となっているが、奥行きの浅いビルとしての平面により、内部空間は開放感溢れるものとなっている。ファサードには、中間期に対応した自然換気のディテールも加えられていることも付記しておく。

省資源、地域環境を追及した中規模オフィスビルとしての完成度は極めて高く、審査員の合意により理事長賞にふさわしい作品として選定された。


戻るボタン