IBEC 建築省エネ機構(一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)

国土交通大臣賞(商業施設その他部門)

「福山市まなびの館 ローズコム」

建築主福山市
設計者(株)日建設計
施工者高砂熱学工業(株)
建設地広島県福山市
構造SRC造、一部RC造
階数地上4階地下1階
延床面積14,097m2

講評

 図書館を中心とする複合用途の公共建築であることに関わる諸条件への対応と、環境負荷の抑制や自然エネルギーの活用が巧みに融合した、格調高いデザインを実現している。事業主体である自治体は、この事業の立上げにあたり、PFIも検討しているが、直接事業の推進に関わることとし、開館後の管理運用にも熱心に取り組んでいる。利用者も多く、まさに公共施設の建設と運用の範といえるものとなっている。

福山駅前から南方向に続く商店街を抜けると、中央公園が広がり、その向こうに大庇の水平線とその間の全面ガラスが印象深い端正なデザインの建物が目に入る。1階、2階の開架式閲覧室は、公園と一体化した気持ちよい空間となっており、2.4mの出を持つ大庇は、年間を通じて、開館時間帯にブラインドを下ろすことなしに直達日射を遮蔽するとともに、閲覧室を開放的かつ安心感のある快適な空間とするのに役立っている。また、閲覧室窓際は昼光照明で必要照度が確保されている。

公園と閲覧室の境界に水盤を設けているが、建物と公園を効果的に繋ぎ優れたランドスケープデザインを実現していると共に、水面を吹き渡る風を自然換気や水盤下部に配置したクールヒートチューブへ取り入れ、省エネルギーにも活用している。水盤も含め、豊富な井水と工業用水を巧みに利用している。

天井全面をRC格子梁が構成する開放的な閲覧室大空間と閲覧室中央に設けた吹き抜けは、自然換気システムは構築するとともに、ナイトパージにも活用している。RC格子梁の間にHf蛍光灯を設置し、シリコンコーティングを施したガラスクロスを貼って光天井とする等、ディテールにも優れたものがある。

吹き抜け上部の排気口に設置した風速計を用いて計測した風速から自然換気風量を推定することの妥当性を検証しているのは興味深い。また、BEMSに運用面での工夫を施した上で、氷蓄熱による電力使用量の平準化や、CO2排出量削減などの計画意図の実証を行っている。

施設の利用については、人口が47万人弱である福山市の中央図書館の年間利用者が75万人であることは、特筆に値する。多くの市民に愛されると共に、建築主である自治体が誇りを持って管理運用に取組んでいる公共建築である


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