IBEC 建築省エネ機構(一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)

審査委員会奨励賞(事務所ビル部門)

「八千代町庁舎」

建築主八千代町
設計者(株)梓設計
施工者鈴縫工業(株) 高塚建設工業(株)
建設地茨城県結城郡八千代町
構造S造(地下RC造)
階数地上4階地下1階
延床面積6,869m2

講評

 人口2.4万人の町のシンボルとなる庁舎である。床面積1.5万m2、4階建ての建物で、4階に町議会議場と関連施設、1,2階に市民サービス部門を配した明快なプランである。

1-2階の南面には吹き抜け・全面ガラス張りの町民ホールがおかれている。 市民の憩いの場として使われる多目的なスペースが、市民サービス部門と一体化した開放的な空間として形成されている。

建物は、各階とも南側ゾーンと北側ゾーンに区分され、2つのゾーンの間に、「風のボイド」、「緑のボイド」と名付けられた、1階から4階まで吹き抜けた縦長の空間が設置され、この建物の大きな特徴となっている。「緑のボイド」は植栽された中庭の上部に広がる外部空間で、上方からの自然採光が意図されている。「風のボイド」は室内空間で、中間期の自然換気と通風を促進する機能が意図され、その最上部には、周辺の環境条件を感知しながら自在に開閉する「スイング窓」が設置されている。

いずれのボイドも、用途の異なる南北のゾーンを区分しながらも、視覚的な一体感をもたらし、かつ採光、通風換気の環境制御装置として計画されたもので、建築的によく考えられている。年間を通じて照明負荷を減らし、暖冷房使用期間を短縮する効果が期待できる。これらの中間ゾーンはまだ十分に使いこなされていない印象があるが、次第に改善されてゆくであろう。

開放的な大空間を効率的に空調するため、床チャンバー・床吹き出し方式が採用され、執務者のニーズに応じて、局所的な対応も可能である。1階の町民ホールは、ガラスファサードが南側に配置された庭園との広がりを強め、光と緑にあふれた市民の広場になっている。他の執務空間と熱的な特性が異なるため、複層ガラスの使用や、コールドドラフトを防ぐ工夫などによって外界の激しい変動を緩衝し、かつ独自の空調運転モードが設定されている。

全体として空間用途に応じた空調方式、照明方式が採用され、効率的な運用が計画されており、竣工以来のこれまでの使用実績もそれを示している。持続可能な建築材料として評価される木材が、インテリアに多用されていて評価できるが、地域材でないのが残念。


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