IBEC 建築省エネ機構(一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)

国土交通大臣賞(商業・サービスビル部門)

「いわて県民情報交流センター」

撮影:木田 勝久

建築主岩手県
設計者(株)日本設計・曽根設計・久慈設計JV
施工者鹿島・宮城・菱和・石川JV 高砂・岩水・東北アクアJV 西原・盛福・大同JV ユアテック・興和・南部JV ダイコー
建設地岩手県盛岡市
構造S造・一部CFT造
階数地上9階地下1階
延床面積45,875m2

講評

 寒冷地におけるガラスを多用した建築である。曇天が多い冬期の暗い雰囲気を透過性の高い仕上げとすることで解消し、併せて熱的に脆弱になりがちなガラス面の熱損失をダブルスキンやアルミ製可動ルーバー等で低減し、また井水・雨水・太陽光等の徹底した自然エネルギー利用への配慮、快適性維持のための暖冷房空調方式など、その意義やねらいは評価に値する。

その結果として、大きな吹き抜けのあるアトリウム空間や会議用個室のいずれにおいても温度むらやドラフトを感じることは全くなく、室内環境形成に関する当初の意図が問題なく達成されていることがわかる。

また、年間の稼働日数(358日、年末年始とその他に1日の休館日があるのみ)が極めて多く、現地での観察においても、平日にもかかわらずほとんどの部屋が使用されるなど稼働率が非常に高い様子が確認できた。一日の使用時間も長く、市民が集う交流センターとしての機能を存分に発揮している。

 これだけの稼働率において、事務所建築や集会施設の一般水準と比較して20%ないしはそれ以上の省エネルギーを達成しており、適切な維持管理運営がなされている点も評価できる。むしろ、体感的にはまだ多少は設定温度を下げることも可能と考えられ、より一層の省エネルギーの可能性が感じられた。なお、利用者のシックハウスに係る疑問に対して迅速に濃度測定を実施するなど、良好な環境維持への取り組み姿勢を伺うことができる。このような対応が、引き続き維持されることを期待したい。

 以上の通り、寒冷地に適した建築手法を駆使して新しい省エネルギーの標準解を与えた建物として高く評価できるものである。


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