IBEC 建築省エネ機構(一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)

国土交通大臣賞(事務所ビル部門)

「マブチモーター本社棟」

建築主マブチモーター(株)
設計者(株)日本設計 日本アイ・ビー・エム(株)
施工者清水建設(株) 新菱冷熱工業(株) (株)関電工
建設地千葉県松戸市
構造SRC造 (一部S造、CFT柱)
階数地上4階地下1階
延床面積19,419m2

講評

 結論から言えば、現地審査によって、書類審査より評価が高まり、トップになった作品である。現地審査によって逆に評価を下げる作品もかなりあった中で、これだけは評価をかなり上げたので、特別な存在だった。本作品がなぜ現地審査によって評価が高くなったか、といえば、それは本作品の意匠上の美しさと品格が現場で確認できたためである。環境対策や省エネルギー技術が高度化・普及する中で、画期的な新技術の開発や導入ということは徐々に難しくなってきている。環境建築や省エネ建築における昨今の課題は、こうした新技術の開発・導入などよりも、むしろ既往の堅実な省エネ技術や仕掛けを、建築に要求される諸要素とのバランスを取りつつ、いかにして建築に取り込み、美しい建築として仕上げるか、ということに移ってきている。その点で、本作品はこの課題に対して妥当な解答を示していると言えよう。以下、本作品について少し具体的なコメントを示す。

本作品の最大の特徴は、何と言っても、外装や内装に多用されている煉瓦である。建築用の煉瓦は現在、日本で製造されていないらしく、カナダから輸入したとのことであった。このクラシックな煉瓦壁がアトリウムやダブルスキンなどの現代的なガラス空間と美しくマッチしており、建物全体に品格と落ち着いた雰囲気を醸し出している。煉瓦は、施工に時間がかかるので、「忙しい」現代では敬遠される材料であるが、「タイルなどの貼り物に比べればメンテが少なく長寿命(サステナブル)であるので、採用に踏み切った。」、とのことであった。設計者とオーナーの英断に拍手を送りたい。このように、環境性でも意匠性でも高く評価される煉瓦であるが、応募書類に煉瓦の採用に関する説明が見られないのはなぜであろう? その他、環境建築には「ツキモノ」的な存在であるアトリウムやダブルスキン、ペリバッファも及第点に十分達している。多機能PCスラブによる躯体と設備の統合化も評価できる。設備分野では、外気取り入れと空調制御で工夫が見られ、これもそれなりに評価できる。


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