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IBEC 建築省エネ機構(一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)

建築環境・省エネルギー機構理事長賞(大規模建築部門)

雲南市役所新庁舎

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所在地 島根県雲南市
構 造 S造(CFT・制震構造)
規 模 7,628m2  地上5F
建築主 雲南市長 速水雄一
設計者 日本設計・中林建築設計事務所設計JV
施工者 鴻池組・都間土建・スヤマ産業 特別JV/島根電工・内村電機工務店 特別JV/新和設備・山陰クボタ 特別JV

講評

この建物は、たたら製鉄や八岐大蛇伝説といった地域の歴史を踏まえたシンボル性を醸し出す構えを創りつつ、同時に内部環境の省エネルギー性を高める工夫を施している。建物全体の熱取得・熱損失を徹底して削減することによって、身近な自然資源を活用する仕掛けと、建物使用者の特徴を活かせる仕掛けとを、建築設備システムとして上手に纏め上げた作品である

以下、評価された主たる特徴を記す。1)放射冷却・加熱パネルがロビー空間や廊下空間に分散配置されており、これらのパネルがこの建物のパッシブシステムとアクティブシステムの中間的な位置づけとなるようデザインされている。2)これらパネルの存在は、市民用ロビー空間と事務所空間を一つながりの大空間とすることを可能にしている。3)冬季は放射加熱パネルの稼働だけで十分な暖房となっている。4)夏季のエアコン運転は凡そ500時間で、7~9月の3カ月の半分(90日×10時間/日=900時間のとして、その半分)以上を、放射冷却パネルの稼働と通風で過ごせるようにしている。5)これは“言うは易く行なうは難し”となり勝ちだが、(視察時に拝見した)職員の方々の様子から、必要に応じた窓の開放が無理なく行なえていることがわかった。5)東西面には大きな窓が設けられているが、窓の外側に大きなタテ型(固定)ルーバーを配し、視界があまり狭くならないよう、また十分な日射遮蔽効果が得られるように設計されている。

この仕掛けは、この建物のシンボル性を表現するとともに、上記のような自然換気の可能時間を増やすのにも大いに役立っていると考えられる。外付けの日射遮蔽は、放射冷却パネルと整合性ある存在でもある。6)放射冷却と外気調和のための冷源には、地下水を直接利用している。これは熱取得を減らす工夫を徹底したからこそ可能になったと考えられる。7)チップボイラ―による温水生成は、自動車で10分程のところにある製材所の廃材チップの燃焼によっている。廃材の持続的な利用を前提とした無理のないバイオマス利用だと考えられる。バイオマスの確保が難しいのにもかかわらずバイオマスボイラーを導入してしまっている事例が現われている昨今の状況を考えると、理に適った計画だったことが確認された。8)市役所業務の空間的・時間的プロフィルを詳細に調査した上で、必要最小限の設備システム容量を設定している。9)運用開始後の実測が詳細に行なわれており、その結果は、職員の勉強会などの場で積極的に開示され、5)に述べた行動の創出に役立てられている。

 

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